総評 |
・・・かつて北海道に一人のアラクネ使いが居た。ひとたび彼が筐体にコインを入れると、瞬く間に伸びる彼のアラクネの連勝数。次第に彼に乱入するものは減っていき、最終的には数名が何とか彼に食らいついていくことが出来るものの、他の者は歯が立たなかった。皆は彼の常軌を逸する強さに尊敬しつつ、迫る闘劇予選に期待していた。しかし彼は忽然と姿を消した・・・勝つことに虚しさを感じたのか?更なる相手を求めて旅立ったのか?
様々な噂が飛び交う中予選が開催されようとしていた。
会場に集まった100人超の参加者、その異様な熱気に店内で開催する事は困難と判断した大会担当は、やおら軽トラックを店の前に付けたかと思うと、ブレイブルーの筐体を搬出し始めた。
青切符を手にせんとする100人超の参加者がそれを黙って見ている筈も無く、筐体の積み込みを終えた軽トラックに詰め寄って説明を求めだした。それをことごとく振り切って強行に軽トラックを発進させる大会担当。ここでトラック前方にいた数名が巻き込まれて重傷を負った。
しかしそれをものともせずに直ちにMAXスピードで参加者の群れを突き放す大会担当。
「青切符が欲しければ喰らいついてみせよ!!」車窓から参加者に放たれる無情な言葉。
「これがGAME41の予選か・・・狂ってやがる!!」参加者は口々に悪態をつき、大会担当への不快感をあらわにした。
各々が追跡を試みる中、ここで約30名の参加者が戦意喪失や先程の事故による怪我の為ふるい落とされた。市内を縦横無尽に移動する軽トラックからはマキビシや煙幕が撒かれ参加者の追跡を妨害した。また偽の軽トラックを何十台も走らせて追跡者を撹乱するなどありとあらゆる手段で参加者を翻弄した。
然して軽トラックの移動した先は"大通公園"であった。聳え立つ札幌市のシンボル"テレビ塔"の下、広大な面積を誇るその公園で予選は開催されることとなった。札幌市内を疾走した軽トラックに付いて来た猛者は約30名。大会担当の暴挙に怒りを滲ませる参加者たちは、胸倉を掴まんばかりの勢いで大会担当に再度詰め寄ったが、象のような巨体から繰り出される猛烈なビンタ攻撃の前に一蹴され、ここで脳震盪による意識障害のため約10名の参加者が脱落しその総数は22名にまで減った。
その人数を確認した大会担当は「時は来た!」と叫ぶと筐体の電源を入れ、ここからようやく予選大会の試合が始まったのであった。ここ札幌市民の憩いの場は血で血を洗う決戦の場となった。
決勝はトーナメント戦。優勝候補の【電波】(タオカカ)が
「あのアラクネ使いが居なければ札幌は儂の天下よ!!」と雄叫びを上げると、数々の死体の山を築いていった。
また片方のトーナメントからは【みょんた】(テイガー)が
「ふんっ!俺の使うキャラが弱キャラだと!?弱い奴の戯言など寝言にもならんわ!!」とぶち上げるとキャラ差を撥ね返して、こちらも並み居る強キャラを倒していった。決勝で激突する二人の雄。筐体が軋みレバーがブチ折れる程の勢いで豪腕を唸らせて自キャラを操作する二人。壮絶な激闘を経て凱歌は【電波】に上がったのであった。
「ふむ人間にしてはなかなか頑張ったのう」と筐体に倒れ込む敗者に対して、たっぷりと蓄えたアゴ髭を撫でながら捨て台詞を吐くと、青切符を毟り取る様にして立ち去ろうとする【電波】。しかしその先にボロボロの胴着を着た若者が【電波】の行く手を遮る様に立ちはだかっていた。「随分偉くなったな電波よ・・・」そう呟いたその男は【電波】の襟首を掴まえて筐体に引き戻すとその反対側に座した。選んだキャラは・・・そう"アラクネ!"あのアラクネ使いの男が帰ってきた。
驚愕の表情をみるみる苦悶のそれに変えていく【電波】、まさに蛇に睨まれた蛙である。アラクネ使いは容赦無く技を叩き込んでいくギャラリーはその華麗な動きにすっかり魅了されていた。防戦一方の【電波】だったが圧倒された1ラウンド目に反して、2ラウンド目は【電波】が圧倒して取り返す。気を良くした【電波】が「驕ったかアラクネ使いよ!もう貴様の時代では無いのだ!」とやっとの事でその言葉を搾り出しアラクネ使いを煽っていく。それに呼応してアラクネ使いは「お前の時代かどうかはあと30秒も経てば分かるだろう・・・」と返す。
悔しさの感情を爆発させ言葉にならぬ雄叫びを上げる【電波】だったが、その言葉通り3ラウンド目はアラクネ使いの圧倒で終わった。
地べたに伏して負けを噛み締める【電波】。「楽しい余興だった。本戦までに腕を磨けよ電波よ」と言い残すと足早に走り去るアラクネ使いの男。大会には興味が無いのか本戦への出場権はそのまま【電波】に託された。
【電波】はこの敗戦を胸に「本戦では、あの男が見ても納得してくれるような闘いを出来るように、これからも精進あるのみ」と意気込んでいる。
なお大会後勝者【電波】には無職の彼への副賞として"刺身の上にタンポポを置く仕事が出来る権利"を与えられたが、ハローワークにてまさにその仕事を斡旋されようとしている最中に体力的に無理との理由で急遽辞退してその場から逃走してしまった。優勝者の写真はその逃走の寸前を捕らえたものである。
※このレポートはフィクションであり、実在の人物・団体・事件等には一切関係ありません。
以下まともな解説〜
遠征はほぼ来ておらず道民や帰省組の道民で争われた青切符でしたが、【電波】(タオカカ)さんがくじ運も味方に付けて見事優勝。しかし決勝は【みょんた】(テイガー)という弱キャラに対してあわやという場面もありなかなか見ごたえのある大会になりました。
闘劇のページはいろいろと上記文章の他にネタを仕込んでありますので、是非そちらの方もご覧下さい。
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